この研究室でどんなことを考えているか

この研究室で考えていることのひとつは、
「関係の多様性」です。

関係といっても、様々なものがありますが、
主に共起(cooccurrence)という関係を考えています。
同じ文書、同じ画像、等々、同じ場所で何かが一緒に現れること。
これが共起です。

共起には頻度に基づく強弱があります。
これをもとに、類似度(距離)を考えることができます。
例えば、あるものと共起する頻度が高い順に他のものをランキングできます。

しかし、このような強弱のある関係は、
ひとつしか種類がないわけではありません。

データ源を変えれば、同じものどうしの関係を求めても、
強弱が全く違っているでしょう。
類似度の計算の仕方を変えるだけでも、
強弱が全く違ってくるでしょう。

これが、この研究室で考えていこうとしている、関係の多様性です。

同じものどうしの関係にも、複数の種類がありえます。
しかも、それは単に程度の差ではなく、
多くのものの関係の強弱を全体でひとつとして考えれば、
ものがそこに置かれている類似度(距離)空間の、
構造的な差と言えます。

研究課題のひとつは、
同じものどうしの間に、本質的に多様だと言える関係を、
どこからもってきて、どうつくるか、です。
関係の多様性は、ユーザにとって、
何らかの意味で有用でなければならないからです。

もうひとつは、
同じものどうしの間の多様な関係に、
ユーザにどのようにアクセスさせるか、です。
これは、多様な関係の統合、という課題でもあります。
多様性の中でユーザを迷子にさせてはいけないからです。